ペットの食事と仕事 豆知識

がんなど、犬猫の病気に食事で何ができる?~「病気と食事管理」スクーリングで学ぶ~

2020年9月12日に開催した「ペットフーディスト養成講座 スクーリング」【病気と食事管理】の様子をお届けします。

 

ペットフーディスト養成講座の「スクーリング」って?

ペットフーディスト養成講座のスクーリングは、テキストで行う通常学習に“プラスの学び”を提供するもので、1年に2回開催しています。

2020年の夏開催(8-9月)は、テキストの中から以下のスクーリングカリキュラムをご用意。

〇基礎栄養学、食事トラブル
〇薬膳
〇ペットフード
〇病気と食事管理

このスクーリングは、会場で参加する「リアルセミナー」ではなく、ネット上で閲覧する「オンラインセミナー」にしています。理由は、日本全国に受講生がいる通信講座だからです。各会場へ足を運ぶ必要がなく時間を効率的に使っていただけること、また自宅で参加できることで大切なパートナー(愛犬愛猫)に長時間の留守番をさせなくて済む、というお声も頂戴しております。

オンラインセミナーですが、講師への質疑応答やクイズなど、臨場感のある学びの場にできるよう、現在も試行錯誤しています。次回のスクリーンは来年冬(2月)開催を予定しています。

 

病気と食事管理のスクーリングの様子をレポート

『病気と食事管理』は、今年最後のスクーリング。奈良なぎさ先生より、テキストの流れに沿って、各病気と食事管理について講義していただきました。後半は特別テーマとして、犬猫の死因のトップ3に入る『がん』の食事の解説や、受講生からの質疑応答など、盛りだくさんな2時間半でした。

 

病気と食事管理

治療とは病気やけがを治すことで、外科的治療(例:手術)と内科的治療(例:投薬)がありますが、内科的治療の1つに、栄養療法があります。食事療法は栄養療法の1種です。


食事療法の目的は、病態の代謝の変化により生じる栄養の過不足の補い病気からの回復、再発の防止および予防をすることです。しかしそれぞれの病気によって、身体の中で起こっていることは異なりますので、当然のことながら、食事も個々の状態に合ったものを選ぶことが大切です。

 

スクーリングでは、消化管と膵臓、肝臓病、腎臓病、尿路疾患、内分泌系、心臓病などテキストで学ぶ各病気の全体像と主な症状、食事療法の目的とポイント、そして特に重要な点について、わかりやすく講義頂きました。

 

犬や猫が病気になった時、食事療法食(特別療法食)を病院ですすめられることは多く、それを正しく与えるためには飼い主さんの正しい理解が必要です。しかし、今はインターネットで様々な情報が見つかり、何が正しいのかを理解することが以前より難しくなっています。まずはペットフーディストを目指す方々がこのようなポイントを正しく理解することで、病気の早期発見・早期治療ができる飼い主さんがに増えることを願います。

 

がんの食事

後半は特別テーマ「がん」の食事について、詳しく解説いただきました。「がん」はいろんな種類があるので、一概に●●が良いとは言えない病気です。その分、基本的な考え方を知った上で、「どう考えれば良いか」ということが重要になります。

・低炭水化物食はがんに有益か?
・高たんぱく、高脂肪食は必須か?
・がんに有益なサプリメントにはどんなものがあるか?

など、受講生の方が知りたいポイントについて、詳しく解説いただきました。


例えば、代表的なサプリメントとしては、オメガ3脂肪酸、抗酸化成分、アガリクスなどがありますが、選び方や与え方は配慮が必要です。また、すべてのがんに対応できる食事がないのと同じように、このサプリメントをあげたらがんが治るというものはありません。そして、がんは簡単に治る病気ではない分、共存しながら生きていく手段は何かを模索していくことが大切になります。


しかし、多くの飼い主はなんとかして治そう、治してあげたいという気持ちが強い方が多く、食事、中でもサプリメントで治そうと考える方も多いものです。サプリメントは薬ではなく、食品の一種ですので、あくまでもサポートという視点が大切。そのうえで正しく選択し、使用することが病気と向き合う上でも重要だと教えていただきました。


がんは「●●するとよい・効果がある」と一概に言えない難しい病気ですが、愛犬・愛猫をよく観察し、個体差を考える視点を飼い主も、飼い主を支えるプロも忘れてはいけないことはとても大切な視点であると改めて学びました。

 

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